まず“はじめに“をペラペラっと読んでみる。さらっとのぞいてみるだけのつもりが、先が読みたくなってやめられない。続きが気になるそんな前がき。
“「妻が怖い」という夫が増えている“、“夫にとっては「たったこれだけのこと」で、(略)一気に何十発もの弾丸が飛んでくることになる“、“男にとって結婚の継続とは、女性の母性ゆえの攻撃から、いかに身を守かの戦略に尽きる。ぼんやりとしていたら、生き残れない。家庭を、のんびりくつろぐ癒しの場所だと思ったら大間違い“など、私が感じていることをうまく文章化されており、そうだそうだ…!と思いながら読み進めた。
“本書は、脳科学の立場から女性脳の仕組みを前提に妻の不機嫌や怒りの理由を解説し、夫側からの対策をまとめた“ものであるとのこと。ぜひ夫側の方には本書を手にとって、妻の取り扱い方法を学んでほしい。妻側の方にも、ぜひ本書を購入して、夫の目のつく場所においておくことを提案したい。我が家は早速夫のデスクにおいてある(その効果のほどは、後日書きたいと思う)。
今回は、本書のエッセンスを紹介できたらと思う。
周産期・授乳期の妻について
“妊娠中、出産後、授乳期と、女性ホルモンの量は目まぐるしく変化する“。女性の体に何が起こっているのか、科学的に説明され、周産期・授乳期の女性の行動には理由があることがわかる。妻の言動に傷ついている夫がいたら、また夫婦の関係性にヒビが入ってしまっているのであれば、妻側が変わってしまったのではなく仕方がなかったことなのだと、ほっとする方もいるのではないだろうか。私も、当時の自分の行いが肯定された気がして気持ちが軽くなった。
井戸端会議も、著者によると“かなり知的な行為“らしく、“女の無駄話“は無駄ではないことが説明されている。自分では、普段の井戸端会議の有用性をうまく言語化できなかったが、これで明日からは自身を持って井戸端会議に参加できるような気がしている。
子どもと夫婦について
“妻を侮辱する夫の対応は、娘の未来を幸せにしないし、息子の将来にも影を落としてしまう“
娘自身の「正論」がいつも正しいわけではないことを、夫は深い愛情を持って知らしめてやる必要がある。妻と娘の場合は、女同士で自我がぶつかりあうことがあるためである。
“子どもたちに対して、「妻が一番大切だ」と宣言してすることは、妻の心に響く““この一言があれば、一生夫と寄り添っていけるという妻も少なくない“(略)“こういう夫であれば、必然的に妻も夫を大切にし、何かにつけて夫を立てる用になる(はず)。これが、息子にとって大きな意味を持つ。“
名もなき家事について
これについては、我が家だけの話だと思いこんでいた。いつも私は夫が中途半端にやり残す事柄(例えば、飲み干した空のペットボトルがゴミ箱に入れられずにキッチンにおいてある、デスクに持って行ったコップが片付けられずにずっとデスクにおいてある、洗面所でコンタクトレンズや洗浄液の箱のゴミが出たらゴミ箱に持って行かずにずっと洗面所においてある、そのほかにもまだいろいろある!)について、私が口うるさいだけなのだろうか…普通は何も言わずに妻が片付けるべきなのだろうか…とさえ思うようになっていた。
しかし本書を読むと、それについても書かれていた!「そうそう…そうなのよ!」「うちだけではなかったのね!?」と共感の連発。妻は何かのついでに少しでも家事を片付けるのに比べ、夫は家事を増やしさえする。妻の怒りは、“どうせ妻がやるだろう“と夫が思っていることにある。本当にこれには共感する。私が夫に、「飲み終わったペットボトルはゴミ箱に片付けておいて」「コップはキッチンに持って行っておいて」と言うと、必ず「それくらいやっといてくれたらいいのにいちいちうるさいなー」と言われることに毎回カチンときていたからだ。ゴミをゴミ箱に捨てる、使い終わったものはもとの場所に戻す、ということが「それくらい」ちょっとしたことならば、自分でやってくれ。
しかしながら、本書を読むと、驚くべきことに夫側の言動にも理由があるらしい。“男性脳は、女性脳に比べて行動文脈が短い“らしい。“女性脳は、トイレに立ったついでに、こちらのものをあちらに持っていき、そして、トイレに行って、帰りにこれをああして、こうして」と比較的長い行動文脈を“できるそうだ。それに対して、“男性脳は、空間認知をして危険察知することに神経信号を使っているために、この能力は低い“らしい。性格でや生活習慣ではなくて、仕方がないものなのか…。夫と一緒に暮らすようになって10年近く、教育をしてきたつもりであるが、いまだにできないということは、やはり“できない“ものなのかもしれない…根気強く声かけをし続ければいつかはできるようになるはず…!と思ってやってきたが、これは期待せずにあきらめた方が心の平和が保たれるのかもしれない。
毎日毎日、チリのように積もり続ける名もなき家事と妻の怒りが、いつか大爆発するのを防ぎだければ、とにかくねぎらうことが必要だそう。
“男性脳と女性脳では見えているものが違う。女性脳は、右脳と左脳をつなぐ神経線維の束である脳梁が男性と比べて太いので、生まれつき右左脳の連携がいい。一方、男性脳は右脳と左脳の連携が緩慢だ。これが、脳に性差をもたらす根源だ”ということ。男性は、“目の前の観察力はいたって低い“そう。“家事をしていても夫と妻は見ている世界が違う。だから、片付いているという感覚も違うのだ“
妻のトリセツ(まとめ)
- 妻に共感すること(女の会話の目的は共感、解決策は不要)
- 散らかり放題の部屋で泣いている妻には、「心配するな。俺がなんとかする!」と声をかけて抱きしめよう
- 穏やかな時間に、妻の苦労を労い、妻の気持ちに寄り添う
- 妻を説得するには、妻の意見を否定せず、消極的なメリット(しなくてよくなることなど)ではなく、得られること・手に入れられるもの、妻がうれしくなるようなことを提示する
- 妻が夫の実家にいる時は、夫が姑と妻の間に入って妻をえこひいきする
- 妻と娘が対立したとき、夫は妻の味方をする。“「どちらが正しいかは関係ない。お母さんを侮辱した時点で、おまえの負けだ」と娘に告げる“
- 息子の思春期には、妻の心を取り戻す。“息子が妻に犯行した場合は「俺の大切な妻に、そんな暴言は許さん!」と毅然と言おう“
- 妻をねぎらう。妻がしていることに対して、小さなことであっても感謝する。
- 「名もなき家事」の存在を知覚し、そのうちの一つを自分のタスクにすることを申し出る
- 失敗はかわいげでごまかす。“いい歳のオジさんが、失敗にうなだれている図はかわいげがあり、「バカじゃないの」と言いながらもクスっとさせたら夫の勝ち“
- 「妻は無意識に、家庭で起きるかもしれない事故を未然に防いでいるのだ」と考えて、妻のルールを守ってあげよう”
感想
本書の中には、我が家でも起こっているエピソードがたくさん紹介されていて、「そうそう…そうなのよ!」「わかる〜!」「うちもそれ!」とにやにやしながら一気に読み進めてしまった。おもしろかった!これまで夫婦の間で起こってきたことが、余すことなく言語化されている。妻を取り扱う夫だけでなく、妻側にとっても、起こっている現象が科学的に説明されており状況の整理・理解にとても役立つものだと思う。女性の言動が科学的に説明され、客観的に見つめることができ、同性ながら笑えてしまうものも多々あった。“女性脳は、ネガティブな過去を何度も蒸し返す厄介な脳“出そう。まさにその通り!
ほかにも、「買い物のストレス」、「妻を絶望させるセリフ」、「心と裏腹な妻の言葉」の翻訳、などについても説明されているので、ぜひ本書を読んで見てほしい。共感できるものがたくさん見つけられると思う。
妻のトリセツ (講談社+α新書) [ 黒川 伊保子 ] 価格:935円(税込、送料無料) (2025/2/13時点) 楽天で購入 |