サプリの話②カルシウム:閉経近い女性へ

40代前後の女性のためのカルシウムの重要性

カルシウムは、私たちの骨を強く保つために必要不可欠な栄養素です。特に40代前後の女性にとって、カルシウムの摂取は非常に重要です。以下にその理由と、どのようにカルシウムを効果的に摂取できるかを紹介します。

カルシウムは、体重の1〜2%を占め、その99%は骨や歯に存在し、残りの1%は血液や組織液、細胞に含まれています。つまり、体重50kgの人には、500g〜1kgのカルシウムがあるということです。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、1日の推奨量を、30〜49歳男性で753mg、30〜49歳女性で663mgとされています。カルシウムを過剰に摂取することにより、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、鉄や亜鉛の吸収障害などの健康被害が見られることから、耐溶上限量は、18歳以上男女共に2,500mgとされています。

骨は約3ヶ月のサイクルで、骨へのカルシウムの沈着と骨からのカルシウムの溶出を繰り返しています。男性は50歳代から、女性では閉経後に、骨からのカルシウムの溶出量が骨へのカルシウムの形成量よりも上回るため、骨量が減少してしまいます。

1. 骨密度の維持

この年齢になると、骨密度の減少が始まりやすくなります。特に女性は閉経後に骨量が急激に減少するリスクがあります。カルシウムを十分に摂取することで、骨密度を維持し、骨粗鬆症を予防することができます。

2. 筋肉と神経の機能

カルシウムは筋肉の収縮や神経の伝達にも重要な役割を果たします。カルシウム不足が続くと、筋肉の痙攣や神経の異常が起こることがあります。

3. 心血管系の健康

カルシウムは心臓の正常な収縮をサポートし、血圧の調整にも関与しています。適切なカルシウム摂取は心血管系の健康を維持するのに役立ちます。

効果的なカルシウムの摂取方法

1. 食事からの摂取

カルシウムは乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)に豊富に含まれています。また、緑黄色野菜(ブロッコリー、ケール)やナッツ(アーモンド、くるみ)からも摂取できます。

普通の牛乳コップ1杯(200g)で110mg
プロセスチーズ1切れ(18g)で630mg
ヨーグルト無脂肪無糖1カップ(210g)で140mg
切り干し大根1食分(10g)で500mg
くるみ1粒(5g)で85mg
アーモンド10粒(14g)で260mg
含まれています。

毎日プロセスチーズ1切れを食べることで、必要量がおおむねカバーできそうです。

2. サプリメント

食事だけで十分なカルシウムを摂取するのが難しい場合、カルシウムサプリメントを利用することができます。ただし、1日に1,000mg以上摂ることで、心筋梗塞のリスクが上昇するという報告もあるため、注意が必要です。

3. ビタミンDの摂取

カルシウムの吸収を助けるために、ビタミンDも重要です。しかしながら、ビタミンDのサプリメントによる研究の結果を見ても、ビタミンDによって骨粗鬆のリスクを低減する効果については、今後の検証が必要です。

ビタミンDは、日に当たることで皮膚で産生されるため、日光浴をしたり、ビタミンDが豊富な食品(サケ、サバ、卵黄)を摂取することで、効果的にカルシウムを吸収することができます。

エビデンス

疫学研究のメタ・アナリシスでは、カルシウム摂取量と骨量、骨密度との間には有意な関連が認められており、骨量の維持には十分なカルシウム摂取が必要です。

閉経後の女性においては、平均的に1年で約1%の骨密度の低下が見られることから、カルシウムを多く摂取することで数年で1〜2%の抑制をしたとしても、骨密度の低下を抑えるほどの効果にはならないとしています。

食事で意識的にカルシウムを摂取することに加え、サプリメントに寄るカルシウム補給の骨密度上昇効果を検討した研究も数多く存在しますが、効果は有効であってもわずかなものが多く、食事によるカルシウム摂取量の増加の効果と比較しても大きな差があるとは言えません。

参考資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html

CummingRG. Calcium intake and bone mass: a quantitative review of the evidence. Calcif Tissue Int. 1990;47(4):194-201.

Welten DC, Kemper HC, Post GB, et al. A meta-analysis of the effect of calcium intake on bone mass in young and middle aged females and males. J Nutr. 1995; 125(11):2802-2813.

Tai V, Leung W, Grey A, et al. Calcium intake and bone mineral density: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2015; 351:h4183

まとめ

40代前後の女性にとって、カルシウムは健康な骨や筋肉、神経の機能を維持するために不可欠な栄養素です。カルシウム摂取量が少ないことは、低骨量のリスクになると言えますが、中高年においてカルシウム摂取量を増やしても、骨密度の低下や骨折を予防する効果は小さいと考えられます。特に1日1,000mg以上のカルシウムサプリメントをを用いた場合には、心筋梗塞のリスクが上昇することが報告されています。そのため、これ以上のサプリを摂ることには慎重になる必要があります。

サプリメントに頼るよりも、バランスの取れた食事でカルシウムを効果的に摂取することがよさそうです。



AyaMi

はじめまして!AyaMiと申します。アラフォー、ワーママです。 挫折を何度も経験しながらも、その度に起き上がってきました。 『人生思い出づくり』をモットーに、一度だけの人生、いろんな経験を積んで、七転び八起きする様子や、日常生活で考えたこと・調べたことなどで皆さんのお役に立てたらと思います。 1女1男の子育てをしながら、フルタイムで働いています。平日はほぼワンオペ、週末もワンオペなことが多く、自分時間を捻出すること、効率よく生活しながらも子供達の心・体のケアもしなくては、という葛藤を持ちながら日々暮らしています。 人生に起こるどんなできごとも、意味がある。自分にとってなくてはならないもの。今の自分を作る掛け替えのないできごと。 過去の自分に向けて、こんなページがあったらいいな、を想像しながら日々を綴っていきます。 どうぞよろしくお願いします♡

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